
05 Windows 95の衝撃:パソコンのOSのシェア争いとインターネットへの扉
1995年8月24日(日本では同年11月23日)、Microsoftは新しいオペレーティングシステム(OS)「Windows 95」をリリースした。このOSの登場は、当時のパソコン業界に大きな衝撃を与え、その後のインターネットの爆発的な普及に大きく貢献することになる。
GUIの普及:コマンドラインからマウス操作へ
Windows 95以前、多くのパソコンでは「コマンドラインインターフェース(CUI)」が主流だった。これは、キーボードからコマンドを打ち込んで操作する方式で、初心者にはハードルが高かった。一方、Windows 95は「グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)」を採用し、マウスでアイコンやメニューをクリックして操作する、直感的な操作性を実現した。
- スタートボタン: アプリケーションの起動や、システムの設定変更などが容易になった。
- タスクバー: 起動中のアプリケーションを一覧表示し、簡単に切り替えられるようになった。
- プラグアンドプレイ: 周辺機器を接続するだけで、自動的に設定が行われるようになった。
これらの機能は、当時のパソコンユーザーにとって革命的だった。GUIの普及により、パソコンは一部の専門家だけでなく、一般の人々にとっても使いやすい道具となったのだ。
インターネットへの扉:TCP/IPの標準搭載
Windows 95がインターネットの普及に果たした最も大きな役割は、TCP/IP(インターネット通信に必要なプロトコル)を標準搭載したことである。これによって、ユーザーは特別なソフトウェアを用意しなくても、簡単にインターネットに接続できるようになった。
- Internet Explorer: Windows 95には、ウェブブラウザ「Internet Explorer」も標準搭載されていた。これにより、ユーザーはすぐにウェブサイトを閲覧できるようになった。
- ダイヤルアップ接続の設定: 初心者でも簡単にインターネット接続を設定できるウィザードが用意された。
パソコンのOSのシェア争い:Windows vs OS/2 vs Mac OS
Windows 95の登場は、当時のパソコン業界におけるOSのシェア争いを激化させた。主な競合相手は、IBMの「OS/2」とAppleの「Mac OS」だった。
- OS/2: IBMが開発したOSで、Windows 95よりも前にリリースされていた。しかし、使い勝手の面でWindows 95に及ばず、シェアを奪うことはできなかった。
- Mac OS: AppleのMacintoshに搭載されていたOSで、GUIの先駆者だった。しかし、ハードウェアとソフトウェアを一体で提供するビジネスモデルが、Windows 95の勢いを止めることはできなかった。
結果として、Windows 95はパソコンのOS市場で圧倒的なシェアを獲得し、デファクトスタンダード(事実上の標準)となった。
インターネット爆発的普及の起爆剤
Windows 95の成功は、パソコンの普及を加速させ、インターネットの利用者数を飛躍的に増加させた。GUIによる使いやすさと、インターネットへの容易なアクセスは、まさに「革命」だった。
- パソコンの普及: Windows 95の登場により、パソコンはより身近な存在となり、家庭への普及が進んだ。
- インターネット利用者の増加: インターネットへの接続が容易になったことで、利用者数が爆発的に増加した。
- ウェブサイトの増加: インターネット利用者の増加に伴い、企業や個人がウェブサイトを開設するようになった。
Windows 95は、インターネットを一部の専門家だけのものではなく、一般の人々にも開かれたものにした。その功績は、現代の情報社会を築く上で、非常に大きなものだったと言えるだろう。
次回は、Windows 95とともにインターネットの覇権を争った、もう一つのブラウザ「Netscape」の登場とその影響について解説します。